例えば、スクーバダイビングでドライスーツを着用する際、適正ウエイト量が 8kg のダイバーなら
鉛の錘 8kg 分を一般的なウエイトベルトに通して身体に装着した場合、腰に一極集中する荷重になります。
これでは水中で身体を水平の状態に保持しようにも、腰に巻き付けた 8kg 分の錘で V 字に折れ曲がりそうになり
体幹筋を鍛えている御方でさえ、理想的なトリムを作り出すことが物理的に無理があるという理論に至ります。
そこで近年はダイビング器材メーカーから『 衣料品のベスト 』と同じ形状をしたウエイトベストなるものが台頭してきています。
このウエイトベストには肩甲下部・側腹部・胸骨の左右等に鉛の錘を収納できるポケットがあり
適正ウエイト量8kg の内、凡そ半分の 4kg をベストへ移行させ、ウエイトベルトと併用することで錘を分散させた重量配分になるので
ドライスーツを着用しているシーズンでも水中で理想的なトリムを保持することができて快適なダイビングになること間違いなしです。
『 へぇ~、そうなんだ!』と、ウエイトベストに関心を持たれたスクーバダイビングに興じる御方は
ワールドダイブ社などから販売されているウエイトベストを商品検索なさることをお薦めします。
■ スピアフィッシャーマンに最適なウエイトベストとは
上記の解説は圧縮空気が充填されたエアシリンダーを背負って海に潜るスクーバダイバーへの提言ですが
素潜りで海中へ潜るスピアフィッシャーマンには国内のダイビング器材メーカーの製品では合点がいかない商品ばかりと言えます。
国内メーカーが販売するウエイトベストは正に『 衣料品のベスト 』を模倣した形状で着易さを優先した各部が緩い仕立ての製品が大半で
ウエイトベストのサイズが少々緩くてもスクーバダイバーはウエイトベストを着用した上から
BCDジャケットというダイビング器材を重ね着した状態になりますが、ウエイトベストに備わるメリットは損ないません。
しかし、スピアフィッシャーマンは常に潜降と浮上を繰り返す反復運動のため、ウエイトベストは身体にフィットしていることが重要となり
スピアフィッシング関連の商材を扱うEU 諸国の名門ブランドからは衣料品のベストを模倣した形状というより
肩口から腕回りをベルトで調整をして身体にピッタリとフィットさせることが可能なハーネス・タイプの製品が主流と言えます。
スクーバダイバーはエアシリンダーを背負うため、鉛の錘を収納するポケットが背面にある製品は僅少ですが
スピアフィッシャーマン用に特化させたウエイト・ハーネスでは錘を収納するポケットは背面に配置されているタイプが大半を占めます。
Q. スクーバダイバー向けのウエイトベストには無く、スピアフィッシャーマン向けのウエイト・ハーネスには有るモノ ・・・
A. それは画像4のハーネス用 ランヤードが装備されていることです。
素潜りで潜降する際に俗称:ジャックナイフと呼ばれる頭部を水底に向けた状態で潜ると身体にフィットさせたハーネスであっても
鉛の錘をポケットに収納したハーネスには万有引力の法則により、ハーネスが上半身から頭の方にズレ動いてしまうため
スピアフィッシャーマンはハーネス用ランヤードをウエイトベルトの下を通して、ランヤード先端のボールがストッパーの役割をすることで
潜降中にハーネスが上半身からズレて、亀が甲羅に首を引っ込めた様な状態になるのを阻止するために欠かせないパーツと言えます。
※ 予め、ランヤードの長さを調整しておくことは必須です
■ スクーバダイビング、素潜りで使用するウエイトを保持する製品に求められる必須条件
スクーバダイバーのBCDジャケットに錘を収納する製品でも瞬時に錘を海中投棄できる創意工夫に満ちたギミックを散見しますが
命に危険が差し迫った状況にはウエイトベルトを海中投棄することでプラス浮力が瞬時に確保できる
『 クイックリリース機構を備えているバックルを使用すること 』と定義されています。
スピアフィッシャーマンがウエイト・ベルトにウエイト・ハーネスを併用することで理想的な重量配分になりますが
命に危険が差し迫った事態に直面した場合はベルトとハーネスも海中に投棄することで
ウェットスーツに備わっている浮力だけで水面への浮上が可能となります。
パニック寸前の心理状態でウエイト・ベルトはクイックリリースバックルを開放して海中へ投棄しつつ
更にウエイト・ハーネスも上半身から脱いで海中へ投棄するという動作が求められます。
この動作を確実に遂行するためには、ウエイト・ハーネスの凸凹バックルが取り付けられている位置も重要となってきます。
画像8の様にハーネスを胸骨の位置で左右から凸凹バックルで留めるタイプは古典的なライフジャケットと同じく
両腕を通すアームホール部分から腕を抜かない限り、ハーネスを脱ぐことができません。
更に画像9のナスカンを結束したコード&金属製クリップを採用している製品や
ナイロンベルト&凸凹バックルを用いてランヤードの代用と思しき製品を散見しますが
命に危険が差し迫っている状況下で平常心を保ちつつ、背後へ手を伸ばしてクリップを外すことや
手探りで凸凹バックルを探し当てて外す動作が出来る or 否か?熟考するまでもなく理解できるはずです。
画像9の赤い矢印の箇所が確実に外れていない状況なのにウエイトベルトを海中投棄してしまったら
ベルトとハーネスは繋がったままの状態で自分の足元に錘が付いたウエイトベルトが宙づりの状態になり
ハーネスの凸凹バックルを外そうにもハーネスが半端ない力で水底へ引っ張られる事態は想像しただけで死を覚悟する状況とも思えます。
■ 当該品の特長
私事で恐縮ですが 6kg の錘をウエイトベルトに装着して獣道しかない様な急斜面を登ったり、磯へ降りるのが苦行と感じる様になって以降
フード付きボレロ&トラウザースで5mm厚のウェットスーツを着るシーズンになると当該品をベルトと併用していますが
腰に重い錘を巻き付けて歩くよりも重い物は背中に背負う方が理に適っていると陸上でも実感できるアイテムと言えます。
ハーネスの肩口と脇の間を凸凹バックルで留めるタイプですから腕回りから腕を抜く動作を必要とせず
左右の腕を身体の正面で交差させた状態にして両手で凸凹バックルを外せば、ハーネスは身体から自然に滑り落ちて海中へ投棄できます。
ハーネス用 ランヤードの先端はボール状ですから、他社製品の様に何かで留める、凸凹バックルを外すといった動作を必要とせず
ウエイトベルトを海中投棄した時点でハーネスを上半身から排除する動作へ迅速に移行できるシンプルで確実な方法だと断言いたします。
■ サイズ / アームホールの大きさを調整できるので『 フリーサイズ 』となっていますが、極端に大胸筋をビルドアップなさっていらっしゃる御方には窮屈だと思います。